○海津市残火処理実施要綱
平成17年3月28日
消防本部訓令甲第22号
第1 目的
この訓令は、海津市消防本部出場等に関する規程(平成17年海津市消防本部訓令甲第20号)第36条に規定する残火処理に関し必要な事項を定め、再出火等の事故を防止することを目的とする。
第2 用語
1 火勢鎮圧 火勢が消防隊の制御下に入り、拡大の危険がなくなったと現場指揮者が判断したときの状態をいう。
2 残火処理 火勢鎮圧及び有炎現象が終息した後、残り火を点検し処理することをいう。
3 鎮火 残火処理後、現場指揮者が消防隊による消火活動の必要がなくなったと認定したときの状態をいう。
第3 残火処理の活動態勢
1 現場指揮者は、残火処理を適正に行うため、火災の規模、消防対象物の状況、その他火災現場全体の状況により活動態勢を決定するものとする。
2 現場指揮者は、残火処理を行う消防隊及びその担当区域を指定するものとする。この場合において、木造建物にあっては焼け止まり付近、耐火建築物にあっては直上階等に対する延焼危険箇所を重点区域として指定し、残火処理を行うものとする。
3 現場指揮者は、消防隊到着時既に消火活動の必要のない状態になっている場合においても、残火処理について必要な指示を行うものとする。
第4 残り火の点検
残り火の点検は、別表により行うものとする。この場合において、熱気の残る箇所、強い放射熱を受けていた箇所を重点に行うものとする。
第5 残火処理活動上の留意事項
1 破壊
(1) 残火処理を行うため焼損していない箇所を破壊する場合は、現場指揮者の指揮によるものとする。この場合において、現場指揮者は努めて消防対象物の関係者(所有者、管理者及び占有者をいう。以下同じ。)に破壊理由を説明し、承諾を得るものとする。ただし、関係者が不在のため承諾を得られない場合は、現場に在る警察官に協議を求め、必要な措置を講ずるものとする。
(2) 破壊箇所は、最大の効果が発揮できる部分とする。
(3) 破壊は、過剰破壊を慎み、必要最小限度の範囲にとどめるものとする。
(4) 破壊は、最も適した器具及び方法により行うものとする。
2 注水
(1) 注水は、消防対象物に適した注水方法により効率的に行い、過剰注水に留意すること。
(2) 焼き堆積物への注水は、筒先を差し込むか、又は掘り崩して行うものとする。
3 可燃物、焼残物等の処理
(1) 布団、マット、繊維類その他の水切れとともに再燃のおそれのある物品の残火処理は、必要に応じて関係者に搬出の協力を求め、これを行うものとする。
(2) 倉庫、材木置場等大量の可燃物の集積場所における可燃物又は焼残物の残火処理は、必要に応じて関係者に搬出の協力を求め、これを行うものとする。
4 現場保存
(1) 残火処理に当たって、破壊、焼残物の搬出その他の処理を行う場合は、火災調査上必要な現場の保存又は証拠の保全を図るものとする。
(2) 出火箇所と認められる場所及びその付近の残火処理は、努めて写真撮影又は見取図作成後に行うものとする。
第6 残火処理カード
1 現場指揮者は、次に掲げる火災の場合は、消防隊に残火処理チェックカード(様式第1号)(以下「チェックカード」という。)を作成させるものとする。
(1) 建物火災
(2) その他現場指揮者が必要と認める火災
2 チェックカードは、担当区域の棟、階層又は室ごとに作成するものとする。
3 小隊長は、担当区域の残火処理が完了した場合は、現場指揮者にチェックカードを提出して、報告するものとする。
第7 鎮火の決定
現場指揮者は、チェックカードに残火処理の漏れのないことを点検し、現場を確認して、鎮火を決定するものとする。
第8 監視、警戒等の措置
1 現場指揮者は、消防警戒区域を設定し現場保全を行うときは、消防職員又は消防団員に監視、警戒に当たらせるものとする。
2 現場指揮者は、現場保存区域を設定し現場保全を行うときは、関係者、自治会及び消防団員に監視、警戒等の協力を求めるものとする。
3 現場指揮者は、消防隊等を現場から引き揚げるときは、次に掲げる関係者等に対し残火処理状況、現場保存区域等を説明するとともに、説示書(様式第2号)を交付し、当該現場の監視、警戒等の協力を要請するものとする。
(1) 火元消防対象物の関係者
(2) 類焼した消防対象物の関係者
(3) 強い放射熱を受けたと認められる消防対象物の関係者
(4) 前(1)から(3)号に掲げる関係者にかかわる従業員、親類筋等
(5) その他現場指揮者が必要と認める者
第9 チェックカード等の作成及び保存
1 チェックカード及び説示書(控)の作成は、別記によるものとする。
2 チェックカード及び説示書(控)は、火災ごとに一括し、暦年ごとに編さん保存するものとする。
附則
この訓令は、平成17年3月28日から施行する。
附則(令和4年4月1日消本訓令第1号)抄
1 この訓令は、令和4年4月1日から施行する。
別表(第4関係)
残火点検基準
区分 | 点検箇所 | 点検要領 |
木造 | 屋根、小屋裏、天井裏、床下等 | 1 点検口(押入れの天井部分)等から内部を視認する。 2 必要に応じ天井、床等の一部を破壊して確認する。 |
瓦下地、畳の合わせ目等 | 1 焼け止まり箇所等を視認する。 2 畳で焼きの深いものは、床板まで燃え抜けているか確認する。 | |
家具類(タンス等)、戸棚の裏側等 | 1 移動させて火気及び煙の有無を確認し、更に内部の収容物を関係者の承諾を得て視認する。 2 必要に応じ局部破壊して確認する。 | |
押入れ、戸袋等 | 1 収容物を引き出して内部を視認し、火気及び煙の有無を確認する。 2 必要に応じ局部破壊して、小屋裏等への燃え抜け状況を確認する。 | |
厨房等の火気使用施設周囲の内装裏面、煙突の貫通部分等 | 1 変色又は強い放射熱を受けたと予想される部分を局部破壊又は素手で触れて確認する。 2 通し柱等に焼きがある場合は、小屋裏、天井裏まで確認する。 | |
柱、はり、合掌部のほぞ部分等 | ||
強い放射熱を受けた部分、風下消防対象物の飛火危険箇所 | ||
焼き堆積物等 | 1 掘り起こし又は掘り崩して、堆積物内部の火気を確認する。 2 化学薬品等注水により発熱の危険性のあるものを確認する。 | |
布団、マット、繊維類、紙、木材、木くず類、わら類等 | 深部に残った保熱を素手で触れるなどして確認する。 | |
ガス滞留箇所 | 床下、排水口等滞留するおそれのある場所をガス検知器により確認する。 | |
防火造 | モルタル壁等の二重壁内等 | 1 変色又は強い放射熱を受けたと予想される部分を局部破壊又は素手で触れて確認する。 2 通し柱等に焼きがある場合は、小屋裏、天井裏まで確認する。 |
その他木造及び簡易・耐火造に準ずる。 | ||
簡易・耐火造 | ダクト、パイプスペースのたて穴、ダクトの壁体貫通部分等 | 1 点検口等から内部を視認する。 2 貫通部分の枠組み、埋め戻しを確認する。 3 必要に応じ天井、床等の一部を破壊して確認する。 |
その他木造及び防火造に準ずる。 |