○海津市男女共同参画推進条例

平成20年3月24日

条例第7号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第10条)

第2章 基本的施策等(第11条―第18条)

第3章 男女共同参画推進審議会(第19条―第22条)

第4章 雑則(第23条)

附則

先人の汗と知恵によって築かれた本市は、大都市近郊という地理的優位性などから田園都市として発展してきた。また、養老山地の山なみと木曽三川の雄大な流れに育まれ、地域のコミュニティ活動も活発である。

しかしながら、古くからの社会の慣行やしきたりの中で、「男は仕事、女は家庭」の言葉に代表される固定的な性別役割分担意識も根強く残っている。

一方、少子高齢化の進展をはじめとする急速な社会情勢の変化に伴い、人それぞれが多様な生き方を選択する時代を迎え、家族や地域など性別にかかわらず、主体的に行動し、新しい仕組みをつくっていくことが、緊急かつ重要な課題である。

こうした状況を踏まえ、真に豊かで活力ある海津市を築いていくためには、男女が、これまでの役割にとらわれず、個人としての能力を十分発揮して、社会のあらゆる分野において対等に参画することができる男女共同参画社会を形成していくことが必要である。

ここに、私たちは、男女共同参画を推進する取組を総合的かつ計画的に推進し、市、市民及び事業者の協働により、「女(ひと)と男(ひと)がともに輝くまちづくり」の実現を目指し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関して、その基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、市が実施する施策の基本的事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって豊かで活力ある海津市の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 積極的格差改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) 事業者 市内において事業活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。

(4) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方の心身に不快感、苦痛を与え相手の生活環境を害すること、又は相手に不利益を与えることをいう。

(5) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、恋人等の間における身体的、心理的、性的、経済的等の暴力的行為をいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。

(1) 男女があらゆる分野において、性別による差別的取扱いを受けることなく、個性及び能力が十分に発揮できる機会が確保され、人権が尊重されること。

(2) 男女が社会における活動を選択する際に、性別による固定的な役割分担等に基づく社会の制度又は慣行の影響を受けないよう配慮されること。

(3) 市における政策又は事業者における方針の立案及び決定に男女が社会の対等な構成員として、参画する機会が確保されること。

(4) 家庭を構成する男女が、相互の協力と社会支援の下に、家事、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動と地域及び職場における活動その他の活動に対等に参画することができること。

(目指すべき姿)

第4条 市、市民及び事業者は、前条に掲げる基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、次の各号に掲げる事項を目指すべき姿とし、その推進に努めるものとする。

(1) 家庭においては、家族一人ひとりが個性を尊重し、互いに家事、子育て、家族の介護その他の家庭生活において協力するとともに、地域及び職場における活動と両立することができ、それぞれが固定的な性別役割分担意識にとらわれることなく生き方を選択できること。

(2) 地域においては、固定的な性別役割分担意識やそれに伴う慣習や社会通念にとらわれず、男女が差別なく活動に参加できること。

(3) 職場においては、募集、採用、配置、賃金、昇進等において、性別による格差がなく、方針の立案、決定及び実施に等しく参画する機会が確保されるとともに、男女が共にゆとりをもって仕事及び家庭生活並びに地域活動が両立できること。

(4) 学校をはじめとする、あらゆる教育や保育の場においては、人権が尊重され、性別にとらわれることなく、個性及び能力が大切にされる教育が行われること。

(5) その他、あらゆる場において、固定的な性別役割分担意識にとらわれず男女が協働する社会が推進されること。

(市の責務)

第5条 市は、基本理念に基づき、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。

2 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。

3 市は、男女共同参画の推進に当たり、市民、事業者、国及び他の地方公共団体と連携し協力するよう努めなければならない。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、自ら進んで男女共同参画の推進を図るよう努めなければならない。

2 市民は、男女共同参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、男女が共同して参画することができる体制の整備に取組むよう努めなければならない。

2 事業者は、男女共同参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めるものとする。

(市、市民及び事業者の協働)

第8条 市、市民及び事業者は、それぞれの主体的な取組及び相互の連携協力により、男女共同参画の推進を協働して行うものとする。

(性別による権利侵害の禁止)

第9条 すべての人は、家庭、地域、職場、学校その他社会のあらゆる場において、次に掲げる行為を行ってはならない。

(1) 性別を理由とする差別的取扱い

(2) セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス等人権侵害行為

(公衆に表示する情報に関する留意事項)

第10条 すべての人は、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担又は異性に対する暴力等を助長し、又は連想させる表現その他不必要な性的な表現を行わないよう努めなければならない。

第2章 基本的施策等

(男女共同参画プラン)

第11条 市は、男女共同参画の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画(以下「男女共同参画プラン」という。)を策定するものとする。

2 市長は、男女共同参画プランを策定しようとするときは、広く市民の意見を反映するよう適切な措置を講ずるとともに、海津市男女共同参画推進審議会の意見を聴くものとする。

3 市長は、男女共同参画プランを策定したときは、速やかに公表するものとする。

4 前2項の規定は、男女共同参画プランの変更について準用する。

(積極的格差改善措置)

第12条 市は、市の附属機関等における委員を委嘱又は任命するときは、積極的格差改善措置を講ずることにより、男女の均衡を図るよう努めるものとする。

2 市は、政策を策定し、又は実施する場合には、男女共同参画に配慮しなければならない。

(情報の収集及び分析)

第13条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を策定し、効果的に実施するため、必要な情報の収集及び分析を行うものとする。

(広報活動等)

第14条 市は、男女共同参画の推進について市民及び事業者の理解を深めるために、広報活動の充実その他の適切な措置を講ずるものとする。

(学習のための支援)

第15条 市は、学校教育、社会教育その他のあらゆる教育及び市民の学習活動において、男女共同参画に関する教育及び学習を促進するための適切な措置を講ずるものとする。

(推進体制の整備)

第16条 市は、男女共同参画の推進に関する施策について円滑かつ総合的に推進するため、庁内組織の充実、強化に努めるものとする。

(苦情等への対応)

第17条 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、市民又は事業者から苦情の申出を受けた場合には、適切な措置を講ずるものとする。この場合において、必要があると認めるときは、海津市男女共同参画推進審議会の意見を聴くものとする。

2 市は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因による人権の侵害に関し、市民又は事業者から相談の申出があったときは、関係機関と連携し、適切な措置を講ずるものとする。

(年次報告)

第18条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況を明らかにするため、年次報告書を作成し、これを公表するものとする。

第3章 男女共同参画推進審議会

(設置)

第19条 男女共同参画の推進に関する重要な事項について調査審議するため、海津市男女共同参画推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、次に掲げる事項について、市長の諮問に応じ調査、審議及び答申するものとする。

(1) 男女共同参画プランの策定及び変更に関する事項

(2) 前号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関する重要事項

3 審議会は、前項に定めるもののほか、男女共同参画の推進について、市長に意見を述べることができる。

(組織)

第20条 審議会は、委員15人以内をもって組織する。

2 男女のいずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満であってはならない。

(委員)

第21条 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験者

(2) 関係機関・団体の代表

(3) 事業者の代表

(4) 公募市民

(5) その他、市長が適当と認める者

2 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 委員は、再任することができる。

(審議会の運営等)

第22条 前3条に定めるもののほか、審議会の運営等について必要な事項は、規則で定める。

第4章 雑則

(委任)

第23条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成20年4月1日から施行する。

海津市男女共同参画推進条例

平成20年3月24日 条例第7号

(平成20年4月1日施行)